前記事で取り上げた「イアンのナードコア大百科」を読み進めると、ヤルハラ、ディスク百合おんのプロフィール、ヤングスポーツのディスコグラフィー、同時代のチップチューンレーベルの情報など、本リサーチにおいて重要そうな事項の記載がかなりあったので、該当箇所のページ数などのメモ書きを残しておく。
▶︎アーティスト・プロフィール
・ディスク百合おん プロフィール:p.362〜p.363
・・・ナードコア大百科執筆の重要な協力者でもあるようで、巻頭にもコメントを寄せている。
・丼(Dong) プロフィール:p.372〜p.373
・・・ぐちょん氏とのユニット”bikotan”という新出情報を確認できた。
・Sylvanian Families プロフィール:p.346
・・・自身の音楽スタイルは「moeclick」と呼ばれているらしい。
・トラフィックジャミーズ:p.364〜p.365
・・・音を聴いたらめっちゃカッコよかったのでメモ書き。bandcampで定期的に音源配信されてる。
・・・Bliss3threeの音源リリースも手がけた<Dismiss Yourself>のYoutube垢からも音源が聴ける。
・サイケアウツ:p.352〜p.353
・・・確実に今後のリサーチ対象になるので、メモ。
※よく名前を聴く”殺害塩化ビニール”というバンドの影響があるらしく、この辺も面白そう。パンク/ハードコア/ノイズ/グラインドコア辺りのディグにおそらく必須。
▶︎ジャンル
・チップチューン:p.363
・・・任天堂ゲームボーイなどのゲームハードの音源を使用して制作されたテクノミュージック。ナードコアでもゲーム音楽のサンプリングは多いので、チップチューン界隈との関わりは割と多い。(引用)
・ハードコアテクノ:p.367
・・・高いBPMと四つ打ちのキックドラムを中心とした音楽ジャンル。上述の定義を持ってハードコアテクノの全てではありませんが、概ねナードコアはハードコアテクノのサブジャンルの一つではある。(引用)
・ブレイクコア:p.369
・・・高速のブレイクビーツを使ったハードコアテクノ。2018年現在において、近年作られたナードコアだと思える楽曲がブレイクコアとしても定義されることがある。(引用)
・ロリコア:p.372
・・・海外で発生されたブレイクコア・ノイズにアニメなどのサンプリングを載せたハードコアテクノのジャンル。音楽的にナードコアとの共通点があったが、シーンとしては大きな違いがあった。(引用)
▶︎レーベル
・ヤングスポーツ:p.162〜p.163
・・・DJ銚子が出していたMIX CDの名も判明 (YOUNG SPORTS THE MIX)。
・・・丼『旅するコドモ』(2004)がヤングスポーツからのリリース作品だったこともわかった。
・胸毛レコーズ:p.208〜p.209
・・・ディスク百合おん主催のレーベル。
・・・ぐちょん主催のレーベル。
・・・ぐちょん主催のレーベル、ヤングスポーツとよくコラボもしていたらしい(日の出スポーツ)。
・・・↓ファンのYoutubeアップも発見、Twitch隔週配信を行ったりしているようで、おもろい。
※海外ファンによる隔週配信文化は、こちら(著者イアン主催のStereo Records,p.97)でも見かけた。こういうの多いのかも、Twitchのアーカイブを見てみたけど「これぞ音楽オタク!」という感じの熱量が伝わってきてすごい、カッコ良い。
・・・Di-Bit主催のチップチューンレーベル。Dongさん参加のリリース作品もあったはず。
※Guchon『Everyone’s Song』(2006)のM14″Zarigani Wars(Dong Remix)”
・・・CDR、藤子名人、ぐちょんさんのリリースもあり。
・・・Tanikugu(谷蟇)のSigarami(?)主催。Family Ascentionシリーズがファミコン・チップチューン。
・・・音情報が少ない…、がRAID=GIGというショップで色んな作品の試聴ファイルが残っていた。
・・・Dongさんが参加していた”MIDINIZE 3“というコンピ盤もここから出ている。
※M3以外では、”中野MECANO”というレコ屋で委託販売をしていたらしい、良い情報だ行ってみよう。
・・・藤子名人主催。英語名称は”Strikes Back Records”。レーベルは現在閉鎖中。
・・・MO”RTALITY主催、ナードコアというより、ノイズ・ロリコアに近いらしい。
・・・コンピにトラフィックジャミーズ参加。
※かなり音がかっこいい。アニメネタを用いても、ノイズ系統だとロリコアに分類されるのかな。last.fmでのCDR氏のアーティストプロフィールでもロリコアのファンが多い的な文言は見かけた。
・日本國民:p.186〜p.187
・・・「エロゲとテクノを混ぜたもの」というコンセプト、ナードコアの重要レーベルらしい。
※このミックスかなり良かった、またサイケアウツとか調べる時にじっくりリサーチしてみたい。
・TOY LABEL:p.99
・・・BUBBLE-B『最果てアンビエント』(2021)を聴いたことがあったのでメモ。
※TOY LABELは初期TRANSONIC RECORDSを目指して作られたらしい。TRANSONIC RECORDSはジャパニーズテクノを掘る上で最重要レーベルのようなので、また調べたい。
▶︎その他メモ書き
・インターネット経由で発生した電子音楽サブジャンルの生成構造は「寿司」みたいなイメージ?
シャリに載せるA.ネタは全時代を通してバラバラで、制作者の好みに拠る。大好きなものを主張するのがナードコアの真髄だが、中には嫌いなものをカッコよく曲にするアンチ・ナードコアなどもあるそう。日本語の天気予報音声やデパートで流れる安っぽい音楽などにするとvaporwaveになるとも一部言えるのかもしれない。あと最近だとこのA.ネタの部分を”ビジュアルイメージ”に依存させる方式のジャンル生成の動きもある気がする。例えば、Dreamcore/Weirdcore/Traumacoreといったもの挙げられるだろう(この辺りは下記ブログに詳しく書いてある、SOUPのOSTも一部Weiredcoreに括られる海外の動きもあるので後日また触れます⇨https://note.com/luciferchan_sad/n/n484a94a4e955)
一方でネタの土台であるB.シャリに関しては、広く電子音楽という括りでは時代を通して大体共通している気がする。が、その種類は時代とともに縦横無尽に膨大な広がりを見せている。A.ネタを大好きなものに固定した場合、’94〜’00年代のハードコアテクノをシャリにするとナードコアになり、ノイズぽいものなるとロリコアと呼ばれたりする、という理解でいいのかしらん。しかし、大好きなものに固定したとしても、例えばBliss3threeの作品とかは、ロリコアとは呼ばれずに、vaporwaveとか HexDとか呼ばれたりする。楽曲により顕著な特徴がみられる音楽に関しては、ナードコアではなく、その特徴に基づいたサブジャンル名が優先されるのだと思う。
あとは、ブレイクコアというジャンルの様相を俺はあまり理解できていない。最初にブレイクコアという言葉を認識したのは、3年くらい前からめちゃくちゃ色んなところで流れてたSewerslvtの音源を聴いた時だと思う。まさにイアン氏の定義する”高速のブレイクビーツが用いられたハードコアテクノ”っていう認識でいたのだけれど、関連書籍をググったりしてみると、どうやらもっと広がりをもった概念らしいことがうかがえる。時代的にも2018年以降のものだけを指すのではないし、音楽的な特徴としてブレイクビーツを用いたものに限らないぽいのだなと。買ったままあまり読み進められていない梅ヶ谷雄太 編著のブレイクコア・ガイドブック(下巻のみ持ってる)を読めば、その辺りがクリアになりそうなので、今後のリサーチ対象にしたい。
・関係ありそうな自分が持っているコレクション
左から、
・梅ヶ谷雄太 『ブレイクコア・ガイドブック 下巻』(2019):同氏はMURDER CHANNELを運営。
・CDR 1stAL『1』(1999):CDR15才時の作品、最近の高円寺円盤(現”黒猫”)の自主盤セールで入手。
・サイケアウツ『逆襲のサイケアウツ: ベスト・カッツ 1995-2000』(2023)
※ナードコア大百科のイアンと、梅ヶ谷氏の選曲と監修で製作されたコンピ盤。
・zr3a『lainnoise』(?):CDRの学生時代の友人のノイズ・コラージュ作品、lainネタ使用。情報僅少。
補足終了。2023/12/6